僕の日記

文。

 布団に入ってから読む本がなかったので、しょうがなく屋根裏に上がって
廃棄の処分を免れた昔の本を漁った。

12編からなるSF短編集である小松左京の「戦争はなかった」という小説を
手にとり読み始める。

半分ぐらいは忘れておりなんか得した気分である。

がしかし読んでいくうちに、当時はまだこの小説で小松氏が伝えたい真意や
心の叫びがあまり分からなかったから今一つ面白くないSF小説という括りで
印象が薄かったのだろうということに気付いた。

昭和49年5月25日発行・昭和62年7月30日20刷

昭和45年前後の作品が収められている。

小松氏が40歳過ぎに書いた作品が主である。

それを19歳の私が読んでいたのである。
今一つ面白くないSF小説としか捉えられなくてもやむを得ないかもしれない。

なぜならSFという言語で表現した純文学っていう方が近いからである。
当時、純文学系の作家にも傾倒していたが狭い固定観念の中でしかそれぞれの
作品を表せられなかったのであろう。

純文学と言う気取ったイメージでなく40男の心の叫びと言ったほうが
正確かもしれない。

この本を執筆した彼と同年齢になりあらためて読むと今更ながら
小松左京氏の魅力を発見できたのである。

時間を超越して自分と自分、そして作者と自分の思考と対話させてくれる
「文」とは本当に奥深いものであると再認識させられた小説であった。

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