よく
「ドラえもんの道具で何がほしい?」
と言う質問はあるが
「ドラえもんの道具で何が一番心に残っているか?」
と質問されたら何て答えるだろうか。
私は
「バイバイン」と「独裁スイッチ」である。
バイバインは物を5分ごとに2倍にし続ける薬(1→2→4→8→16と言う具合)
で、のび太が栗まんじゅうにつけるのだが残り一個がどうしても食べられず
放置してしまい山積みになった栗まんじゅうを見つけたドラえもんが
窮地の策でロケットを出し宇宙に捨てるという結末であった。
しかしそれは結末ではないところが小学生の私には得体のしれない怖さを感じた。
独裁スイッチは自分の気に入らない人間を消すことができ消した人間について
スイッチを押した以外の人間の記憶から抹消されるスイッチである。
案の定のび太がジャイアンやママを消すんだけどそれでもその代わりに
のび太を叱ったりからかったりする人間が現れ夢でまでからかわれ
「みんな消えちまえ!」
と寝言で言って振り上げた手がスイッチに当たりみんな消えてしまう。
その時ドラえもんが出て来て独裁者を懲らしめる為の道具であることを
打ち明けるというオチである。
嫌な人間を消すまでは楽しく読めたのだが消した後世の中から
一人の人間の存在を完全に抹消してしまったのび太の
罪悪感がリアルに伝わってきたものであった。
両方とも小学校3~4年生ぐらいに読んだものだと思うが
まあまあ大人になった今思い返しても小学生時に考えた延長線としても、
また別の角度からも考えさせられる深い話である。
欲は成長に繋がり決して悪いものではないが制御できない欲は
自身を滅ぼす、欲の良い加減を突き詰めることや足ることを知る大切さ。
合う人合わない人が存在し、あらゆる人に自分の考えをうまく伝えたり
相手の話を理解しようとしたりするからこそ成長できるとのへの再認識。
改めて藤子・F・不二雄氏に脱帽ですな。
バイバインと独裁スイッチ欲しいけどね・・・(呆)