業界の月刊誌に
「賃貸マンションの入居者との契約に際し、他の部屋に
おいて発生した自殺事故の告知義務はないとした事例」
といった記事を見つけた。
鉄筋コンクリート造4階建・全12戸の一室(賃料98,000円/月・
共益費5,000円/月)で自殺する本件事故が発生、同居者は
その後3年住んだ後退去、その際に家主が本件貸室の他、他貸室に
おいても賃料減額・空室による損害、リフォーム費用等が発生
したとして同居者や相続人に対して1696万円の損害賠償を請求。
裁判所はそれに対し61万円余りの請求を認めたとのこと。
理由は長々とあるんだけど
各室の独立性が高い構造である本件マンションに
おいて、本件貸室以外の居室の新規入居者に、
本件事故を告知する義務があるとは解されないこと、
インターネットのサイトで本件マンションが自殺の発生した
物件として紹介されていたとしても、第三者の意図的な作為に
よって生じた結果についてまで、本件事故と相当な因果関係の
ある損害とは言えないことから、本件貸室以外に関する貸主の
損害の主張には理由がないとのことらしい。
なので居住空間でなくバルコニーで発生したこと、本件事故より
3年余りが経過し、本件貸室に関する心理的な忌避感や抵抗感も
相当程度軽減されていること等から、半年間の賃料及び共益費
相当額の限度で本件事故と相当な因果関係のある損害と
認められると締めてあった。
状況にもよるんだろうけど、要は自殺のあった部屋以外に
告知義務はないし、それによって他の部屋の入居率が
下がってもその差損は請求できないってことですな。
我々仲介業者から言ったらデリケートな問題にきちんとした
線引きができて尚且つ、それが言わなくても良いということなので
ありがたいんだけど家主さんから言ったら何か微妙な感じが
しないでもないですな。
まあ誰でも一度は死ぬので考え様ってところもあるんでしょうな。