僕の日記

家路

それは先日、仕事関係の方からの誘いで飲みに出とときのことでした。
当然自転車ですな、とはいってもそんなに飲みませんしちゃんと覚まして帰ります。
しかし天気が微妙なのは気にかかりました・・・

さて、帰る時間です。充分に酔いを醒まして準備万端ですな。
「雨やんでますか?」と仕事関係の方。
「んー、大丈夫でしょう」と私・・・ん?っちゅうか降ってたの?雨・・・

外に出てみると・・・降っています。全然大丈夫じゃあないですな。
まあいいか小雨だし。何が、まあいいかよくわからんのですが・・・
すっかり家までの10k近い距離なんて忘れてますな・・・・
しかも家までずっと微妙な上り坂だし・・・・ほんとに酔いは醒めてるんだろうか

しんどいけど飛ばし気味に自転車をこぐ私。
前を見ると同じように自転車で家路を急ぐ人がちらほら。
傘さし運転はご法度ですな(っちゅうか傘さしてまで自転車のってるって小雨ではないですな・・・)とか思いつつ軽やかに抜き去る私。

しかし気が付いたら上がっている息。
小雨と思っていたのに地面は断続的な水溜り・・・・(やっぱり小雨ではないんですな)
後輪が跳ね上げる泥水を背中に浴びる不愉快な感触・・・・
ビチャビチャ・・・・んー、嫌な音つきですなまったく・・ビチャビチャ・・・・
ん?今は泥水踏んでないのですが・・・・

そしてかすかに聞こえる自分以外のペダル音・・・

どうやらさっき軽やかに抜いた人が私の背後をマークしてるようですな・・・・
ってことは私の速度が落ちてるのか・・・
それとも抜かれた「奴」が気合を入れて踏んでるのか・・・
と思った矢先私の足元が薄明るくなる
そうだ、「奴」の発電した光だ・・・・
どうやら「奴」はさらに私との距離を縮めているようだ。
「抜かれてたまるか!」(ナンデヤネン)
意味もなくペダルを踏む足に力を入れる私
一向に離れない足元の光・・・しかも最新式のその光は点滅し更に私をあせらせる・・・
ほんとに「奴」はさっき私が軽やかに抜いた「彼」なのか?
振り向きたい衝動を必死に押さえつける私。

ふと前を見ると黄色を放つ信号。
止まる私・・・ここで止まることは負けではないと自分を納得させながらノンストップで
駆け抜ける「奴」を目で追う私・・・・
もはや「奴」と「彼」の違いを選別することより勝ちか負けかを考えている私・・・・
考えをめぐらすと、この世にその場で決まる勝ち負けなんてないのではないかと思う。
負けを教訓として勝つ(それすらも勝ちでないかもしれないが)勝ちを成功へのフォーマットとして保存する(これも負けへのフォーマットなのかもしれないが)・・・・
雨に打たれながらとんでもない方向へ頭がイッテマスナ・・・・

信号が青に変わるのを見届けて再びペダルを踏む私。
もはや頭の中に「奴」はいないですな・・・・(複雑なようで単純な人ですな私)

家まであと300m
急に土砂降りとなった雨は、黄色で止まった「私」に「負け」を頭によぎらせる・・・・

家まであと100m!

( required )