僕の日記

無形物の再生装置。

マンション案内の為、愛車に乗り込む。
エンジンをかけるとともに流れ出すBGM。

ん?昨日車を下りた時に中断した音と違うそれを奏でるスピーカー。

犯人は妻らしい。
たまには毛色の違う音楽を楽しめるよいハプニングだなといつものプラス思考。

WOMN2 DISC2の5曲目に入っているジャネット・ケイが歌う「ラヴィン・ユー」が始まる。
不意に聞かされたこの曲によって頭は18年前の映像で埋まってゆく・・・・

19年前に不動産会社社長より転職の誘いを受け考え続け、18年前の3月にそれまで
3年間勤めていた会社を退社、全く畑違いの不動産業へ飛び込む決心をしたのでした。

1990年3月下旬、有給残を消化がてら大阪の友人を尋ねる。
青臭い話や女の子の話を飲みながら熱く語るのは若者の特権だ。

翌日、二日酔いの体内とは対照的な春の陽射し、風、匂いを感じながら帰路へ就き一人歩道橋を登る。
さあ、明日から新しい未知なる世界の始まりだ。
退社の手続きも終わり、昨日は友人と語り明かして頭はいい具合に初期化できている。

まっさらな体内記憶媒体に一番に入ってきたのは清々しい鳥のさえずり。
光と風と音が見事に調和した刹那に重なったのは少し前ラジオのヘビーローテーションで
よく流れていたミニーリパートンの「ラヴィン・ユー」。

当然その時に実際の音はない。しかし自身へのこれからの期待と春の心地よさから来る
複雑な高揚感が共通する清々しい鳥のさえずりによりリンクし、頭の中でこの曲を瞬時に
チョイスしたのであろう。

ミニーリパートンによる「ラヴィン・ユー」がオリジナルだと記憶している。
僕がよく聞いた1989年は全米NO1になってから14年の歳月が経ち、本人が他界してから
10年が経過していたのである。

今考えたら恐らく他界後10年ということで再燃していた曲なのであろう。

あれから18年、「ラヴィン・ユー」が聞こえてくるたびあの時の複雑な高揚感と歩道橋を
思い出し続けている。
 

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